青春をとりもどせ!!!

ロケットボーイズボーカルクラモチトシノリのエッセイ、コラム

10月19日

10月19日
東武野田線
いつもの電車に乗って家に帰る。
物語はちと不安定?を聞いてる僕の前には
柏レイソルのユニフォームを着た少年達が
マックの袋を持ってゆらゆらしていた。
匂いがきつい。
電車で嗅ぐ食べ物の匂いはどれも
臭いと思うのは不思議だな。
でも僕もイヤホンの音漏れがすごい。
迷惑は多分お互いさまだ。
少年達はサッカーを見た帰りだろうか
誰一人楽しく話す様子もなく
みんなスマホをポチポチしてる。
下を向いてスマホを見る彼らの顔は
幼いくせに僕らの様に少しくたびれて見える
別に僕は今の現代の発展や流行を否定したりしない、便利はやっぱり便利だ。
でもそれだけなのかな。とも思ったりする。
便利は困らないがきっと不自由だ。
頭と心が便利の鎖でガッチガッチだ
あれやるならこれ使おう。
これやるならあれ使おう。
そのあれとこれを考えることもうなくなったでしょ。多分。それが一番楽しいんだけど。
便利があるせいで不便の中にある楽しさが
僕は感じなくなったこともあるな。
例えばとかはここに書くのめんどくさいから
飲みいった時に話すよ。
そんな少年達を見ながら思い出した。
僕は彼らの年の頃野球をやっていた。
学校が終わったら野球。
休日は野球。野球が大好きだった。
僕の学校にはたぬきのシュート板という
でっかいコンクリの壁があった。
ピッチャーを目指していた僕は
壁に描かれたでかいピンクのたぬきの腹のバツ印で書かれたヘソに、ボールを当てる。それが僕のピッチング練習だった。
ポーン、ポーン、ポーン、
休日の朝、誰もいない学校には僕がたぬきのへそに向かって投げるボールの音が鳴り響く。
その音は学校の真裏に住んでた友達の家にやたら響くらしく、しばらくすると眠そうな顔をしたその友達が来て

「なんかもっちゃんが練習してると思うと、

    落ち着かなくて来ちゃったよ。」

と下手くそに笑う友達と一緒に野球をしたもんだ。
でも僕は壁に向かってボールを投げながらも
その友達に
「一緒に野球やろうぜ。」
というメッセージを
ポーンという乾いた音だけで届けようとしていたんだ。その音を聞いて来てくれる友達が好きだった。まあもちろん携帯なんか持ってなかったし。それしかなかった。
彼らにそんなことはないだろう。
そんな偉そうなことを言うつもりはない
僕も今じゃスマホに頼りっぱなしだ。
ただその様な思い出は
僕の中で大切な物になってる。

あと電車の中でマックを食うのはやめような。

それだけだ。